Agisoft Metashape 2.2 の新機能
Agisoft Metashape 2.2 では、航空LIDARの処理に関連する多くの新機能が追加されています。また、より詳細な解像度のデータに基づいてオルソモザイクの品質を向上させる機能や、より詳細な解像度のデータに基づいてオルソモザイクの品質を向上させる機能、プロジェクトファイルにジオイドファイルを保存する機能、AIを使用したマスクの自動生成、および以下の記事で説明する様々なツールが追加されています:
航空LiDAR ボアサイトキャリブレーションのサポート
航空LiDARのボアサイトキャリブレーションを実行できるようになりました。このプロセスにより、航空LiDAR間のアライメントが向上します。詳細なワークフローについては、航空レーザースキャン データ処理の「航空LiDAR ボアサイトキャリブレーション」セクションで説明されています。
以下は、左がボアサイトキャリブレーション前、右がボアサイトキャリブレーション後の結果です:
LiDARポイントクラウド比較の精度ビュー
LiDARデータセットの位置合わせ精度を評価するために、差分ビューツールが追加されました。このツールは、LiDAR ポイントクラウドの重複領域を表示し、エラー値に従って点を評価します。このツールを使用するには、ツールバーから選択します (レーザースキャンの表示 > 差分ビュー)
凡例にはエラー値が表示され、これはプロジェクト毎に個別に計算されます。ポイントは、この領域のエラー値に応じて色付けされます。青は誤差が最も少ない点、赤は誤差が最も大きい点を意味しています:
チェックポイント座標を使用してポイントクラウドの精度を測定
コントロールポイントとチェックポイントの高度誤差を推定するのに役立つツールを追加しました。ダイアログボックスには、元のマーカー (プロジェクトにインポートされた) の高度値と地表の高度値が表示されます。この値を計算するには、座標データペインでマーカーのコンテキストメニューから 「標高を測定…」 コマンドを選択します。
[サーフェス高度(m)]列には、選択したサーフェス (この例ではレーザースキャンのサーフェス) 上のマーカーの高度値が表示されます:
コード化ターゲットでAprilTagsをサポート
Agisoft Metashape 2.2 では、AprilTags を自動的に検出できます。タグの検出を開始するには、[ツール] > [マーカー] > [マーカーの検出…] を選択し、ダイアログボックスで適切なラベルタイプを選択します。
https://april.eecs.umich.edu/software/apriltag
https://github.com/AprilRobotics/apriltag
入力座標に基づいてカメラを位置合わせする
このツールを使用すると、読み込まれた座標に従ってアライメントされていないイメージ(カメラ)を位置合わせできます。なおこれを正しく機能させるにはイメージが座標と角度の値を持っている事が重要であり、これらの情報を元にこのツールは機能します。ツールを使用するには、座標データペインでアライメントされていないイメージを選択し、コンテキストメニューから [地理参照によるカメラの位置合わせ] コマンドを選択します:
この方法は、池や川等水面を写しているカメラがアライメントされない場合に便利です。このようなカメラを座標に合わせて位置合わせすると、オルソモザイク生成中に穴を埋めるのに役立ちます。つまり、これらの座標でアライメントされたカメラはオルソモザイクまたはテクスチャの構築にのみ使用されます。また対応するエリアに穴埋め等でサーフェスを作成しておく事が重要です。DEMをサーフェスとして使用する場合、位置合わせされていないカメラに対応するエリアは、DEM編集ツールを使用するか、DEMを構築するときに「補間 - 外挿」を使用して埋めることができます。
パンシャープニング
Agisoft Metashape 2.2 以降、より高解像度のデータに基づいてオルソモザイクの品質を向上させることができます。以下は、パンシャープニング前と後のオルソモザイクの例です (左側の画像はパンシャープニング前、右の画像はパンシャープニング後):
詳細なワークフローと処理パラメータについては、「パンシャープニング」の記事を参照ください。
屋根のエッジ周辺を改善する実験的な機能
バージョン 2.2 では、屋根のエッジ周辺の領域 (従来「波状」になったりする場所) の改善に役立つテストアルゴリズムが開発されました。このアルゴリズムはテストモードに追加されており、設定の“特別パラメータ”で (main/enable_refine_roof_edges = True) することで利用可能になります。
“特別パラメータ”を設定するには、[ツール] > [設定] > [詳細] タブ > [特別パラメータ] ボタンをクリックします。
特別パラメーターを適用すると、「オルソモザイク構築」ダイアログボックス (ワークフロー > オルソモザイク構築)に シームラインをリファインの新しいパラメータ「屋根のエッジ」 が表示されます。
結果の比較を以下に示します:
オルソモザイクからテクスチャを構築
バージョン2.2 以降、写真からではなくオルソモザイクを使用してモデルのテクスチャを構築できるようになりました。 [テクスチャの構築] ダイアログ ウィンドウでソースデータとしてオルソモザイクを選択できます。
テクスチャ付きモデルからオルソモザイクを構築
テクスチャ付きモデルからオルソモザイクを構築する事も可能です。この場合、モデルをソース データとして選択し”モデル テクスチャの転送”(Transfer model texture)オプションを有効にする必要があります。
メッシュモデルをブロックに分割
ver 2.2.0 よりメッシュモデルを構築した後でも、メッシュモデルに基づいてブロックモデルを構築する事で、メッシュモデルをブロックに分割できます。これを行うには、モデル構築ダイアログ (ワークフロー > モデル構築) でソース データに「モデル」を選択して [ブロックに分割] オプションを有効にします。
ジオイドファイルをプロジェクトに保存
プロジェクトで使用したジオイドファイルを保存することができます。ツール > “ジオイド…” コマンドを選択します。ダイアログボックスには、ご利用のパソコンに保存されているジオイドとプロジェクトで使用されているジオイドのリストが表示されます。
現在のプロジェクトで使用されたジオイドには、ダイアログウィンドウの“使用”列にチェックマークが付きます。[使用ジオイドのみ表示] オプションを使用してフィルタリングする事もできます:
ジオイドファイルをプロジェクトファイルに埋め込み保存するには、リストから目的のジオイドを選択し、右クリックメニューから [ジオイドを埋め込む] コマンドを使用します:
ジオイドファイルは project.filesフォルダーにコピーされます。
地球以外のベースマップ表示をサポート
Metashape Professional 2.2 では、ベースマップに地球以外の座標系 (他の惑星または月) をサポートしています:
ベースマップの設定方法の詳細な手順については、記事「カスタムベースマップの構成」を参照してください。
複数のマスクインスタンスのサポート
複数のマスクを異なるレイヤーに保存し、深度マップ、オルソモザイク、テクスチャの構築中にマスクを使用するかどうかを選択できるようになりました。
マスクのレイヤーがワークスペースペインに表示されます。ワークフロー処理にマスクを使用するには、使用したいマスクレイヤをアクティブにする必要があります。これを行うには、マスクのあるレイヤーをダブルクリックするか、[ワークスペース]ペインのレイヤーコンテキストメニューから選択を有効化を選択します。
自動 (AI) 背景マスキング
AI を使用して背景のマスクを生成できます。この方法を使用してマスクを作成するには、[ツール] > [マスクを生成…] オプションを選択します。以下のスクリーンショットに示すように「マスクの生成」ダイアログ ボックスで、方法 に「自動 (AI)」を選択します:
マスク生成プロセスが完了すると、写真ビューでツールバーの [マスクを表示] をクリックすると生成されたマスクを確認できます:
「写真」ウィンドウで [マスクを表示] をクリックすると、全ての写真のマスクをサムネイル表示できます:
不意のシャットダウン時の再開処理
Metashape 2.2 では処理中のサブタスクが含まれます。処理中に問題が発生し、その問題が予期しない Metashape の終了 (クラッシュ、シャットダウンなど) に関連している場合、問題が発生した段階から処理プロセスを再開できるようになりました。つまり、問題が発生した後、プロジェクトを再度開くときに失敗が発生する前に保存されたタスクから処理が自動的に続行されます。
このアルゴリズムを利用できるようにするには、各ステージの処理を保存することが重要です。このため各処理に[各ステップ後にプロジェクトを保存] パラメーターがダイアログ ボックスに追加されました。以下の [写真のアライメント] ダイアログボックスの例のように、処理中の保存オプションを有効化する必要があります。
ネットワーク処理の変更
ネットワーク処理サーバーは、Metashape Professional パッケージに含まれる「metshape-server」という名前の専用ユーティリティから起動する必要があります:
metashape-server.exe --server --host 0:0:0:0
ネットワークバッチに関連する全ての情報はサーバー側のデータベースに保存されるようになったため、フェイルオーバー (スレーブ) サーバー機能は不要になり、2.2.0 バージョンから削除されました。
バージョン 2.2.0 以降、動作ノードはデフォルトで一時停止状態で起動されます。この設定をオーバーライドする必要がある場合は、サーバーインスタンスの起動時に –resume-workers キーを使用してください。